トラリピを中長期で運用する人にとって、複数通貨ペアを使った運用はリスク対策として非常に有効な戦略です。
複数の通貨ペアを選ぶ際「相関係数」を活用することで、効率的にリスクを抑えつつリターンを狙うことができます。
本記事では、通貨ペアの相関関係の基礎と相関係数を使ったリスク分散の具体的な方法やメリットを分かりやすく解説します。
複数通貨ペアを活用するメリット
一つの通貨ペアしか保有していない場合、損益はその通貨ペア結果のみに影響されてしまい、予想と違う方向に動いた時は大きな損失をだしてしまうことも…。
そのため、トラリピのリスク対策として、複数の通貨ペアの運用が注目されています。
運用資金を一つの通貨だけではなく、複数の通貨に分けて投資することで、どれか一つで損を出してしまっても他の通貨で補うことができます。
ただし、手当たり次第に複数の通貨ペアを同時に運用しようとすると、かえって投資リスクを高めてしまうおそれがあります。たとえば、似たような動きをする通貨ペアを採用し同じ売買で仕掛けてしまうと、同じタイミングで損を出してしまうかもしれません。
そこで大事になってくるのが「相関係数」になります。相関係数をみることで、2つの通貨ペアがどのように動くのかを簡単に把握することができます。
トラリピの公式ページ「トラリピ・複数通貨ペア運用のすすめ」でも相関係数について紹介されているので、参考にしてみてください(14通貨の相関係数について紹介されています)。
相関係数とは
相関係数とは、2つのデータがどのくらい関連しているのかを表した指標です。
相関係数は-1~1の値をとり、正負の方向と値の大きさによって2つのデータの関係性を表します。
正の相関は、2つの通貨ペアが同じ方向に変動していることを意味します。一方で、負の相関は、2つの通貨ペアが逆方向に変動していることを表します。
また、相関係数が「0」であれば2つの通貨ペアには相関関係はなく、互いにランダムに変動します。
トラリピ運用における「相関係数」
相関係数をみることで、2つの通貨ぺアがどのような動きをするのかを把握することができ、リスク分散を考える時にとても重要になります。
正の相関(+1に近い):似た動きをする(例:米ドル/円とカナダドル/円)
負の相関(-1に近い):逆の動きをする(例:英ポンド/円とトルコリラ/円)
無相関(0に近い):互いに独立して動く(例:豪ドル/NZドルとユーロ/英ポンド)
正の相関
USD/JPYとCAD/JPYの間には強い正の相関関係がみられます。どちらの通貨も上がるタイミングも下がるタイミングも同じタイミングで起きているのが特徴です。
この理由は、アメリカとカナダは隣国で、密接な経済のつながりがあるからになります。
アメリカとカナダのように、通貨を発行する国や地域との経済的なつながりが強い場合は、正の相関になりやすくなります。
負の相関
GBP/JPYとTRY/JPYの間には強い負の相関関係がみられます。片方の通貨が上がるタイミングでもう片方の通貨が下がっているのが特徴です。
負の相関となる理由はさまざまありますが、大きな要因となるのがイギリスが先進国でトルコが新興国に分類されるため、「リスク感情」が異なります。これらの通貨は、特に市場がリスクオフに傾いたときに顕著になります。リスクオフの局面ではトルコリラが急落しやすい一方、英ポンドは「比較的安全な通貨」として買われることがあります。これにより、GBP/JPYが上昇する一方でTRY/JPYが下落する、逆方向の値動きが生じます。
無相関
AUD/NZDとEUR/GBPの間には相関がみられません。
あるタイミングでは同じ方向に動くけど、違う時は逆の方向に動くといったように、2つの通貨ぺアはお互いに関係なく上がったり下がったりを繰り返しています。このような関係を、「相関なし」、もしくは「無相関」といいます。
ただし、「無相関」の場合でも一時的にみると、同じタイミングでピークを迎えることがあるので注意が必要になります。
「無相関」となる理由ですが、これら2つの通貨ペアはオセアニアとヨーロッパという異なる地域の経済圏に属しています。そのため、それぞれ地理的・経済的に独立した要因に基づいて動いており、相互に影響を与える要因がほとんどありません。
通貨ペア間の相関係数
実際の相関係数を計算してみました。
次の表はマネースクエアが取り扱っている17通貨ペアについて、各通貨ペア間の相関係数を一覧にしたものです。相関をとる期間によって、6つ用意しました。
データはinvesting.comの過去データ(daily)を用いて、相関係数の計算はExcelで行っています。また、ぱっとみてわかりやすいように色分けしてあります。
青色は正の相関、赤色は負の相関、白色は相関なし。同じ値でも違う色になってる場合がありますが、四捨五入のためです。
・通貨データ:investing.com「過去のデータ (daily)」
・計算方法:Excel「CORREL関数」
・計算期間:1,3,5,10,20年
相関を取る期間によって、値がほとんど変わらない通貨ペアもあれば大きく変わるものもあります。
1年
3年
5年
10年
20年
参考までに…
現在僕が運用している通貨は「AUD/NZD」「USD/CAD」「EUR/GBP」「NOK/SEK」の4通貨になります。どの通貨もほとんどの期間で「相関なし」となっています(2024年11月現在)。
まとめ
複数の通貨ペアでトラリピ運用することの最大のメリットは「為替の変動リスクを分散させる」ことができる点です。
相関関係を考慮して複数の通貨ペアを持つことにより、評価損の急拡大を抑えることができ、リスクの分散につながり、安定して資産運用を実現できます。
リスク分散の考え方
- 通貨ペアを1つだけ持つ」ことは、思惑通りに進めば高いリターンを得ることができるが、逆に進むとその分リスクが高くなる
- ほったらかしで長期運用する場合は、リスク管理が重要
- リスク管理をする上で「相関係数」はとても大事
相関係数
- 相関係数とは、2種のデータの類似性を示す統計学的指標であり、-1から1までの値をとる
- 相関係数が1に近い場合は「正の相関」といい、2つのデータは同じ方向に動く
- 相関係数が-1に近い場合は「負の相関」といい、2つのデータは逆の方向に動く
相関係数の活用方法
- 正の相関がある通貨ペアを、片方は「買」もう一方は「売」で保有すると、リスクもリターンも半減
- 負の相関がある通貨ペアを、片方は「買」もう一方は「売」で保有すると、リスクもリターンも半減
- 「相関なし」の通貨ペアを選べば、それだけである程度のリスク分散になる
中長期の資産運用を目指すには、安定的かつ効率的な運用が大事になってきます。トラリピは「ほったらかし」で運用できるため、仕事や趣味の時間を削らなくても資産を増やしていくことができます。
さらに、複数の通貨ペアを活用してリスクを分散すれば、大きな損失を回避しつつ安定的に運用を続ける可能性が高まります。この記事で紹介した「相関係数」の考え方を参考に、戦略的なトラリピ運用を始めてみてはいかがでしょうか?
\トラリピのお得な口座開設はココから/