トラリピのリスク対策として、複数の通貨ペアの運用が注目されています。
一つの通貨ペアしか保有していない場合、損益はその運用結果のみに縛られてしまい、予想と違う方向に動いた時は大きな損失をだしてしまいます。一方で、運用資金を分けて投資することでどれかで損を出してしまっても他のところで補うことができます。
ただし、手当たり次第に複数の通貨ペアを同時に運用しようとすると、かえって投資リスクを高めてしまうおそれがあります。たとえば、似たような動きをする通貨ペアを採用し同じ売買で仕掛けてしまうと、同じタイミングで損を出してしまうかもしれません。
そこで大事になってくるのが「相関係数」になります。相関係数をみることで、2つの通貨ペアがどのように動くのかを把握することができます。
この記事では、トラリピで扱っている16通貨ペアについて、期間を変えて相関係数を紹介しています。トラリピの公式ページ「トラリピ・複数通貨ペア運用のすすめ」でも相関係数について紹介されていますが、通貨ペア数が足りてなかったりデータが古かったので、新たに計算してみました。
・通貨データ:investing.com「過去のデータ (daily)」
・計算方法:Excel「CORREL関数」
・計算期間:1,3,5,10,20年
相関係数とは
相関係数とは、2つのデータがどのくらい関連しているのかを表した指標です。
相関係数は-1~1の値をとり、正負の方向と値の大きさによって2つのデータの関係性を表します。
正の相関は、2つの通貨ペアが同じ方向に変動していることを意味します。一方で、負の相関は、2つの通貨ペアが逆方向に変動していることを表します。
また、相関係数が「0」であれば2つの通貨ペアには相関関係はなく、互いにランダムに変動します。
相関係数の例
ここでは、実際のデータを使って、相関係数の例を紹介します。
正の相関
USD/JPYとCAD/JPYの間には強い正の相関関係がみられます。どちらの通貨も上がるタイミングも下がるタイミングも同じタイミングで起きているのが特徴です。
この理由は、アメリカとカナダは隣国で、密接な経済のつながりがあるからです。
アメリカとカナダのように、通貨を発行する国や地域との経済的なつながりが強い場合は、相関がでやすくなります。
負の相関
GBP/JPYとTRY/JPYの間には強い負の相関関係がみられます。片方の通貨が上がるタイミングでもう片方の通貨が下がっているのが特徴です。
相関がない
あるタイミングでは同じ方向に動くけど、違う時は逆の方向に動くといったように、2つの通貨ぺアはお互いに関係なく上がったり下がったりを繰り返しています。このような関係を、「相関なし」、もしくは「無相関」といいます。
通貨ペア間の相関係数
実際の相関係数を計算してみました。
次の表はマネースクエアが取り扱っている16通貨ペアについて、各通貨ペア間の相関係数を一覧にしたものです。相関をとる期間によって、6つ用意しました。
データはinvesting.comの過去データ(daily)から、相関係数の計算はExcelで行いました。また、ぱっとみてわかりやすいように色分けしてあります。
青色は正の相関、赤色は負の相関、白色は相関なし。
四捨五入の関係で、同じ値でも違う色になってる場合があります。
1年
3年
5年
10年
20年
まとめ
複数の通貨ペアでトラリピ運用することの最大のメリットは「為替の変動リスクを分散させる」ことができる点です。
相関関係を考慮して複数の通貨ペアを持つことにより、急激な評価損の拡大を抑えることができ、リスクの分散につながります。
相関係数について
- 相関係数とは、2種のデータの類似性を示す統計学的指標であり、-1から1までの値をとる
- 相関係数が1に近い場合は「正の相関」といい、2つのデータは同じ方向に動く
- 相関係数が-1に近い場合は「負の相関」といい、2つのデータは逆の方向に動く
リスク分散の考え方
- 「通貨ペアを1つだけ持つ」ことは、思惑通りに進めば高いリターンを得ることができるが、逆に進むとその分リスクが高くなる
- ほったらかしで長期運用する場合は、リスク管理が重要
- リスク管理をする上で「相関係数」はとても大事
相関係数の活用方法
- 正の相関がある通貨ペアを、どちらも「買」または「売」で保有すると、リスクもリターンも倍
- 負の相関がある通貨ペアを、どちらも「買」または「売」で保有すると、リスクもリターンも倍
- 正の相関がある通貨ペアを、片方は「買」もう一方は「売」で保有すると、リスクもリターンも半減(リスク分散になる)
- 負の相関がある通貨ペアを、片方は「買」もう一方は「売」で保有すると、リスクもリターンも半減(リスク分散になる)
- 「相関なし」の通貨ペアを選べば、それだけである程度のリスク分散になる
- 「相関なし」の場合でも一時的にみると、同じタイミングでピークを迎えることがあるので注意が必要
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